What is FORMULA-2 Rally Car, KITCAR and Super1600?
フォーミュラー2(FORMULA 2)ラリーカーとは? キットカー(KITCAR)とは? スーパー1600(Super1600)とジュニアWRC 改造範囲の違い 2000/02/09訂正 こんなクルマでキットカー/スーパー1600を作りたい 2004/01/20追加 スズキ・イグニス・スーパー1600同乗記 2003/07/15
1992年、勝負の過激さを増す世界ラリー選手権(以下WRC)ではFIAグループAの車両公認を持つ4WD2Lターボカーでないと勝つことはできなくなってしまった。このグループAというのが年間2500台の同一車両を生産せねばならないということでメーカーにとっては頭の痛い種だった。なぜなら4WDターボカーは日本以外の市場では大変高価なクルマであり、そういったクルマを生産していないメーカーとしてはWRCに参加するために売れるかどうか定かではないクルマを2500台も作るのはとてもリスクのあるものだった。しかし世界中の自動車メーカーの殆どは2L以下の自然吸気エンジンを持つ2輪駆動のクルマは生産しているのでこれらのメーカーのために世界的なラリーのステータスを与える目的で翌1993年シーズンからWRCと並催される形で制定されたのが「FIA Cup for Manufaturers of 2-Litre Cars」というメイクスポイントでカップ勝者を決めるもので、そこで使われる競技車両は2L以下の自然吸気エンジンを持つ2輪駆動車でFIAグループA(1995年からはグループNも可能)の車両公認を取得した車両が対象となる。これが2L以下の車両規定、つまりフォーミュラーを持つということでFIA内の略称で「FORMULA 2」と通称される。
フォーミュラー2の項目でもあるとおり、WRCをリードする4WDターボカーを2500台生産販売できるメーカーは限られている。そのため総合優勝や世界チャンピオンを目指すこのカテゴリーのラリーカーは新規参入もなくマンネリ化の懸念があり、しかも年々開発費等で経費が鰻登りになってメーカーを圧迫するようになってしまい、費用対効果が薄くなると何時彼らが撤退するとも限らなかった。そこでFIAが推進したのはラリーを意識した高性能車を2500台生産しなくてもそのクルマに特殊なレーシングパーツを付けてそのクルマ用のキットとして追加公認を受ければ、より高性能なラリーカーに仕上げることが可能となるということだった。そのキットを付けたラリーカーを「KITCAR」と呼び、FIAグループA公認車両の亜流として1995年に誕生したカテゴリーである。現代ラリーカーの最高峰ワールドラリーカー(以下WRカー)もその1種であるが、一般に呼称されるのはフォーミュラー2ラリーカーから派生したものを指す。
もともとこのカテゴリーは時のルノースポールのチームダイレクターだったパトリック・ランドン氏がキットカーを最高峰とするWRCを夢想してFIAに働き掛けたところがあったのだが、既存のWRCワークスチームやそのドライバーたちからの強い抗議があったこともあり、また提唱者だったルノースポールは当時はウィリアムズF1とのジョイントによるエンジン開発に予算が掛けられたこともあって、せっかく開発したクリオMAXIのワークスカーを予算の都合でフランス国外では活動しなかったこともあって現在でもWRカーを最高峰とするWRCが行われている。カップ戦や世界選手権が掛けられるようになっても、まともに活動したワークスチームは94年FIA2Lワールドカップを獲得したシュコダ、97-98年と2度カップを獲得したセアトとヒュンダイだけ。他はメーカーがカップ戦に登録だけして各国WRCに参戦するディーラーチームに点数をとらせるに過ぎなかった。
しかし1997年と98年シーズンのカタロニアやツール・ド・コルスの様なターマックラリーに普段はターマックばかりのフランス選手権に出ているプジョースポールが306MAXIを持ち込んで、現在では稀代のターマックドライバーとして2003年シーズンまでプジョーに在籍していたジル・パニッツィやフランソワ・デルクールの手によりWRカーのワークスマシンを向こうに回してあわや優勝という大立ち回りを演じた。99年シーズンになるとシトロエンスポールが更に開発の進んだクサーラ・キットカーが名手フィリップ・ブガルスキのドライブでカタルニアとツール・ド・コルスで並み居るWRカーを抑えて優勝「してしまった」。WRカーより300s近く軽く、WRカーよりも50oフェンダーの幅の広い、NAであるが故にターボに吸気リストリクタが付けられたWRカーよりも高回転まで回せる高出力エンジンを持つ2Lクラスのキットカーは専用のタイヤさえあれば4WDターボのWRカーを打ち負かすほどの性能を発揮することが証明されるようになると、WRカーを持つワークスチーム関係者は普段は選手権に参加していないこのフレンチキットカーの存在を魔女狩りのごとく批判し始めた。これを受けたFIAはこのシーズンでカップ戦が最後と言うこともあって、翌2000年シーズンから2Lのキットカーの最低車重を960sから1000sに引き上げたり、エンジンとともに開発の進んだトラクションコントロールを削除するというレギュレーションが適用されるようになり、世界選手権の上ではカテゴリー自体が衰退してしまった。カテゴリーの存続に引導を渡すようになってしまったシトロエンスポールはこれを見越した上で後にシトロエン・クサーラWRCとなるクサーラT4の開発作業に入るようになった。
このカテゴリーが登場した背景にもWRカーによるラリー活動の高騰ぶりから来ている。WRカーは新車で購入すると5000万円を下らない高価なもの。またWRカーを扱うチームから競技車両をレンタルしてラリーに参戦すると1戦で3000万円前後とも言われている。この金額を有望と言われている若いドライバーがいたとしてもスポンサーを説得して資金をかき集めても運良く1戦だけでも参戦できるかどうかだ。これはWRCばかりでなく、国内選手権でも同様だ。しかも出てきた車両はWRCのワークスチームカーとは外観こそ同じながら、カスタマースペックと呼ばれるエンジンをはじめ特に駆動系に高価なアクティブデフを用いていないものしか用意されない。参戦するのがWRCならば運良くワークスチーム達の尻を撫でられるかどうかという有様でしかない。2Lクラスのキットカーは最低重量が引き上げられてしまった上にこちらはレギュレーション上で駆動系に電子制御デフを使えない為に、昔日の日のようにターマックラリーで威力を発揮することもなくなってしまいカテゴリー自体が殆ど壊滅状態であった。しかもこの2Lのキットカーも決して廉価なものではない。
またもう一つの理由はWRカーの下のカテゴリーを担ってきたグループNの存在である。当時も現在もグループNカーによって争われていたFIAプロダクションカーカップ(現在のプロダクションカーWRC)の優勝をねらえる車両を常時生産していたのがミツビシとスバル以外になく、しかも2000年シーズンの頃までは生産車両のパーツをそのまま使っていたせいでシンクロメッシュの付いた生産車用ギアボックスでは競技中にトラブルが頻発していた。またスバルやミツビシのグループN車両は確かに生産品のパーツをレギュレーションによってキャリーオーバーされるので廉価に思われるのだが、今やWRカー並みの補強やロールケージを入れてしまっている上にラリー中に主要なパーツがよく壊れるのでこれも決して安いラリーカーではなくなっている。そうなるとギアボックス等の主要部品を丁寧に操作でき、且つ速いドライバー、つまり経験豊富なベテランドライバーでないと完走すらおぼつかなくなってきている。またラリーの隆盛にはどうであれより多くのメーカーに参加するのがベストであり、ランサーエボリューションやインプレッサWRXのような市販車を方針によって生産できないメーカーの為のカテゴリーが必要とされてきたという事情もある。
WRカーがサーキットレースでのF1に当たるとすれば、スーパー1600はいわばF3として2001年シーズンに誕生したカテゴリーだ。名称の由来は2000年シーズンの英国選手権で1600cc以下のラリーカーによって争われた名称が「フェロード・スーパー1600カップ」から来ている。1600ccクラスのキットカーをベースに作られるのだが、競技車両の新車価格を100,000ユーロという上限(2004年シーズンより125,000ユーロが上限)としてを定めたのが全くの新しい試みである。そのために高価な電子制御デフやカーボンファイバーやマグネシウムの使用を大幅に規制し、今までグループAクラス6の最低重量だった880sを950sに引き上げ(2003年シーズンからは1000s)、更にヨーロッパ域内のWRC6戦と併催するスーパー1600カップ、後のジュニアWRC(以下JWRC-2002年シーズンから全7戦)を誕生させて、それに参戦するクルーを登録制にして全戦参加を義務付けたというものである。このようにしたのはキットカーのように高額な2輪駆動のラリーカーの頃のようにFIAが制定したカップなり選手権なりを争うチームが少なかったことを避けるようにすることと、サービスパークでのメカニックの人数制限(JWRCでは4名)や、選手権参戦者に一括供給されるコントロールタイヤ(2001〜2003年シーズンまではミシュラン。2004年シーズンからピレリにスイッチ)の使用などを盛り込んでレギュレーション上でコストの掛かることを切りつめてラリーのF3として若く有望なドライバーの発掘に役立てようとすることから来ている。しかしながら設立当初はベテランドライバーも参戦できたのだが、2003年シーズンより当該シーズンの1月1日の時点で28歳未満のドライバーにJWRCに参加できるという年齢制限が盛り込まれた。スーパー1600はJWRCのみならずヨーロッパ各国の選手権に瞬く間に広がり、イタリア選手権やスペイン選手権ではは2002年シーズンからスーパー1600が最高峰の選手権になり、ヨーロッパ選手権(ERC)も2004年シーズンからスーパー1600とGr.Nプロダクションカーのドライバーにタイトルがかけられるようになったほどである。
◎改造範囲の違い◎
| オリジナルグループA | キットカー | スーパー1600 | |
| ベース車両 | 同型同エンジンの車両が連続する12ヶ月間に2500台生産された2輪駆動(1995年シーズンからは前後とも可)、2L以下の自然吸気エンジンを持つ車両。 | 連続する12ヶ月間に25000台生産実績のあるボディ・シルエット、ボディ素材、ホイールベースを持つファミリーで駆動方式の変更は不可。 | ← |
| ベースエンジン | その車両のオリジナルのものを使用する。 | ファミリーから派生したもので最低2500基の生産されたものを使用する。 | ← |
| エンジン | ピストン、カムシャフト、ECU、センサー類、エアフローメーター撤去の変更は可能。コンロッド、クランクシャフト、インテーク及びエキゾーストマニホールドは加工等を除いて変更不可(フューエルインジェクターは数と位置を市販車と同様にすれば容量アップは可能)。 | ピストン、カムシャフト、コンロッド、クランクシャフトは上記ベースエンジンのものと材質を変更しないという条件で変更可能。エンジンブロックは上記2500基のものを使用し、クラス別の排気量の上限に近づけるためのボーリングやスリービング、クランクシャフトによるストローク変更は可能。インテークマニホールドとエキゾーストマニホールドは材質形状ともに変更可能。それに伴うスロットルバルブの数や駆動方式、電装系、フューエルインジェクターは数容量ともに変更可能。 | ピストン、カムシャフト、コンロッド、クランクシャフトは上記ベースエンジンのものと材質を変更しないという条件で変更可能。エンジンブロックは上記2500基のものを使用し、1.6Lに近づけるためのボーリングやスリービング、クランクシャフトによるストローク変更は可能。インテークマニホールドとエキゾーストマニホールドは材質形状ともに変更可能。但しスロットルバレルはφ60のものが1つだけしか付けられない(2001年シーズンまではキットカーからの移行措置でφ34の4バレルスロットルが可能だった。シングルカムユニットでは2002年以降もこのまま)。9000rpmをレヴリミットとする。またスロットルバレルの駆動方式にフライ・バイ・ワイヤー等の電子制御スロットルは禁止。電装系は数容量とも変更が可能だが、フューエルインジェクターは容量の変更のみ可能。 |
| サスペンション | 作動形式、取付位置等は市販車に準ずるが、ピックアップポイントを前後20oずつずらすことが可能。またアームやサブフレームは材質等含めて変更可能。 | ← | ← |
| ブレーキ | 変更可能。ただしカーボンブレーキローターは禁止。水冷式ブレーキキャリパーも可能。 | ← | 変更可能。ただしカーボンブレーキローターや水冷式ブレーキキャリパーは禁止。またブレーキキャリパーは6ポッドや8ポッドキャリパー、分割式のブレーキパッドも禁止。 |
| タイヤ&ホイール | コンプリートホイールで最大直径650oまで。ホイール径は市販車の2インチアップまで、幅は9インチまでで材質ともに変更可能。 | コンプリートホイールで最大直径650oまで。ホイール径は自由だがホイール幅は9インチまでで材質ともに変更可能。 | コンプリートホイールで最大直径650oまで。ホイール径は自由だがホイール幅は9インチまでだが、マグネシウムホイールは使用できない(2001年シーズンまでは可能)。 |
| 駆動系 | 駆動方式は市販車に準ずる。ギアボックスは変更可能だがギアレシオは段数に応じて1種類のみ公認取得可能。ファイナルギアレシオは自由。トラクションコントロールや電子制御デフの装着不可能(1999年シーズンまでは可能)。 | ← | 駆動方式は市販車に準ずる。ギアボックスは変更可能だがギアレシオは段数に応じて1種類のみ公認取得可能。ファイナルギアレシオは自由。トラクションコントロールや電子制御デフの装着は禁止。 |
ボディーワーク |
市販車の外見から一切手を加えてはならない。ただし市販車のマイナーチェンジで追加されたパーツは追加ホモロゲを取得の上使用できる。 |
フロントバンパーはスポイラーの追加、エンジン冷却のための開口部を大きくすることが可能。尚、その形状はフェンダーの大きさに沿ってのモデファイが可能。エアスプリッターの素材と形状は自由。リアスポイラーの素材と形状は自由。但しベース車の全長と全幅を越えず、長さは1000oまで。スポイラー断面は一辺170oの正方形に収まること。ボンネットは市販車のシェイプを変えないという条件で最大800p2のエアアウトレットを設けることが可能。フェンダー及びホイールアーチを広げる加工が可能。ただしフェンダー拡大幅は市販車+140oまで可能。加工方法は叩き出しか市販車と同一素材で作られた新部品の追加による。但しクラス5及びクラス6の車両に関しては素材の変更が可能である。 |
フロントバンパーはスポイラーの追加、エンジン冷却のための開口部を大きくすることが可能。尚、その形状はフェンダーの大きさに沿ってのモデファイが可能。エアスプリッターの素材と形状は自由。リアスポイラーの素材と形状は自由。但しベース車の全長と全幅を越えず、長さは1000oまで。スポイラー断面は一辺170oの正方形に収まること。ボンネットは市販車のシェイプを変えないという条件で最大800p2のエアアウトレットを設けることが可能。フェンダー及びホイールアーチを広げる加工が可能。ただしフェンダー拡大幅は市販車+140oまで可能。その際の素材の変更が可能である。 |
その他 |
既存のF2グループA車はたとえ市販車の生産が終了した場合でも右記キット(エンジン関連)を追加公認として取得することが可能である。 |
メーカーは上記のものはキットとして20台分(95年12月までは50台)をグループAの追加ホモロゲとして公認を受け、適切な価格で販売しなければならない。尚、各メーカーが公認取得可能なキットカーの数は年間1車種につき1種類のみである。 |
メーカーは上記のものはキットとして20台分をグループAクラス6、又はスーパー1600の追加ホモロゲとして公認を受け、125,000ユーロ(2003年シーズンまでは100,000ユーロ)を目標に販売しなければならない。そのためカーボンファイバーやマグネシウム等の高価な素材の使用を可能な限り避ける。尚、スーパー1600として公認を受けた各車種は時期に関わらず10件のパーツの公認に限って追加公認が認められる。但し内5件は一番最初の公認申請時に同時に追加させなくてはならない。またJWRCに限っては2003年シーズンよりドライバーの年齢が1月1日時点で28歳未満と年齢制限が施行された。 |
新車価格 |
\6,00,000から\8,000,000(1.6L) |
\9,500,000から\15,000,000(1.6L) |
125,000Euro以下 (2003年シーズンまでは100,000Euro以下) |